ライトやメンソールなら害は少ない?|低タール表示の本当の意味
タール1mgの銘柄に替えても病気のリスクは下がりません。フィルターの通気孔、代償喫煙、メンソールの役割。「軽いタバコ」がなぜ軽くならないのかを、測定方法から説明します。
かんたんな答え
軽くはなりません。パッケージのタール値は機械が一定のリズムで吸ったときの測定値で、人の吸い方は反映されていません。低い数値の銘柄に替えた人は、無意識に深く長く吸い、本数も増えます(代償喫煙)。欧州では2003年、米国では2010年に「ライト」「マイルド」といった表示が禁止されました。
タール1mgの銘柄に替えても、病気のリスクは下がりません。これは推測ではなく、数十年分の調査から出ている結論です。切り替えた人と吸い続けた人を長期間追った研究で、差はほとんど見つかりませんでした。
理由は、タバコ側ではなく吸い方の側にあります。人は数字の通りには吸わないからです。
「ライト」「マイルド」という言葉はどこへ行ったのか
かつて世界中のパッケージに並んでいたこれらの表現は、順に姿を消しました。欧州連合では2003年、米国では2010年に「ライト」「マイルド」「低タール」といった表示が法律で禁止されています。誤解を招く表示だと判断されたためです。
言葉は消えましたが、数値表示は多くの国で残っています。銘柄名の代わりに「1mg」「6mg」という数字が、同じ役割を果たしているのが現在の状況です。
その数字は、機械が吸った値です
タール値とニコチン値は、喫煙機という装置が一定の間隔・一定の量で吸引したときの測定値です。ここに、決定的な仕掛けがあります。
低い数値の銘柄のフィルター側面には、目に見えにくい小さな通気孔が並んでいます。機械が吸うと、この穴から空気が入って煙が薄まり、測定値が下がります。
人が吸うときはどうでしょうか。指と唇が、その穴のある位置をそのまま覆います。塞がれた瞬間、薄まる仕組みは働かなくなります。
| 機械の測定条件 | 実際の吸い方 | |
|---|---|---|
| 通気孔 | 開いたまま | 指と唇で塞がれる |
| 1回の吸引量 | 一定 | 数値が低い銘柄ほど大きくなる |
| 吸う深さ | 一定 | 深く、長くなる |
| 吸い残し | 一定の長さで停止 | 根元まで吸う |
| 本数 | 関係なし | 増えることが多い |
代償喫煙という現象
体は必要なニコチン量を覚えています。1本から得られる量が減れば、足りない分を別の方法で埋めようとします。これが代償喫煙と呼ばれる現象で、繰り返し確認されてきました。
埋め方は、だいたい4つに分かれます。
- 深く吸う — 煙を肺の奥まで届かせる
- 長く吸う — 1回の吸引時間が伸びる
- 根元まで吸う — 濃度が高くなる後半を捨てなくなる
- 本数が増える — いちばん多いパターン
軽い銘柄に替えて「物足りない」と感じた経験があるなら、その感覚はすでに代償喫煙の入り口です。数週間後には、本数が以前より増えているケースが少なくありません。
さらに、深く吸い込む習慣が広がった時期と、肺の奥のほうにできるタイプの肺がんが増えた時期が重なっている、という指摘もあります。軽い銘柄が肺の別の場所に煙を届けた可能性が議論されてきました。
メンソールは何をしているのか
メントールには冷感と、わずかな麻酔のような作用があります。喉に来る刺激が和らぐため、煙を深く吸い込みやすくなります。
この性質は、二つの場面で効いてきます。ひとつは吸い始め。最初の1本の「きつさ」が減るため、習慣化までの距離が短くなります。もうひとつは、やめるとき。公衆衛生機関は、メンソール製品を使っている人のほうが禁煙の成功率が低い傾向を繰り返し報告しています。
味の好みの問題として選んでいるつもりでも、選んでいるのは刺激の少なさです。刺激が少ないほど、多く吸えます。
では、何を変えれば意味がありますか
銘柄を軽くする行為には、ひとつだけ確実な効果があります。「対策をした」という感覚が得られることです。そしてその感覚が、本当の減量を先延ばしにします。
意味があるのは、体に入る量そのものを減らすことだけです。そのために必要なのは新しい銘柄ではなく、今の本数を知ることです。
多くの人は自分の本数を2〜4本少なく見積もっています。そして、やめられた人の大半は一度で成功していません。何度か試し、そのたびに自分の吸い方のクセを知り、最後の一回でやめています。
**今日の行動はひとつだけです。銘柄はそのままで構わないので、今日吸った本数を数えてください。**減らそうとしなくていい。2分もかかりません。数えた数が、あなたにとって唯一意味のある数字です。パッケージに書かれた1mgではなく。
Puff Counterは、この実測値から週ごとの減量ペースを組み立てます。銘柄を軽くする代わりに、1週間ごとに実際の本数が下がっていく形なので、代償喫煙の逃げ道が残りません。
よくある質問
ライトタバコは普通のタバコより安全ですか?
安全ではありません。低タール銘柄に切り替えた人で肺がんや心疾患のリスクが下がったという証拠は得られていません。理由は吸い方にあります。数値が低い銘柄では、1本から得られるニコチンが減るため、人は無意識に深く吸い、根元まで吸い、本数を増やして帳尻を合わせます。
パッケージのタール1mgという数字は何ですか?
機械が決まった間隔と量で吸ったときに測定された値です。フィルター側面の通気孔から空気が入り、煙が薄まった状態で測られます。人が吸うときは指や唇でその穴が塞がれるため、実際に取り込む量は表示値を大きく上回ります。銘柄間の比較にも使えない数値です。
メンソールタバコはやめやすいですか?
むしろ逆の傾向が報告されています。メントールの冷感が煙の刺激を和らげるため、深く吸い込みやすくなり、吸い始めのハードルも下がります。公衆衛生機関は、メンソール製品の使用者のほうが禁煙の成功率が低い傾向を繰り返し指摘しています。
軽い銘柄に替えるのは減煙になりますか?
なりません。減っているのは表示上の数値だけで、体に入る量ではないためです。減量として意味があるのは本数か吸入回数を実際に減らすことです。銘柄を変える手間をかけるなら、同じ銘柄のまま1日の本数を数え始めるほうが、結果につながります。