肺がん検診と喫煙指数の計算
パックイヤーは1日の箱数×吸った年数。日本で使う喫煙指数は1日の本数×年数です。この数字が対象かどうかを決めます。計算方法と低線量CTの役割を説明します。
かんたんな答え
パックイヤーは、1日の箱数×吸った年数です。1日1箱を20年なら20パックイヤーで、日本でよく使う喫煙指数(1日の本数×年数)では400にあたります。米国のUSPSTFは50〜80歳で20パックイヤー以上の人への年1回の低線量CTを推奨していますが、基準は国によって異なります。
肺がんは、進行するまでたいてい静かです。それがこの病気をこれほど致命的にしている事実であり、同時に、適切な人を対象にした検診が効く理由でもあります。
自分がその「適切な人」にあたるかどうかは、ひとつの数字で決まります。そしてその数字は、1分ほどで出せます。
パックイヤーと喫煙指数の計算
パックイヤー = 1日の箱数 × 吸った年数
計算はこれだけです。1箱は20本として数えます。
日本の医療機関では、喫煙指数(ブリンクマン指数) = 1日の本数 × 吸った年数のほうがよく使われます。1箱が20本なので、喫煙指数はパックイヤーのちょうど20倍です。20パックイヤーは喫煙指数400、30パックイヤーは600。同じことを別の単位で言っているだけです。
計算例です。
| 吸い方 | 年数 | パックイヤー | 喫煙指数 |
|---|---|---|---|
| 1日1箱(20本) | 20年 | 20 | 400 |
| 1日半箱(10本) | 30年 | 15 | 300 |
| 1日2箱(40本) | 15年 | 30 | 600 |
| 1日1.5箱(30本) | 20年 | 30 | 600 |
| 1日5本 | 40年 | 10 | 200 |
吸う量が時期によって変わったなら、期間ごとに分けて足します。半箱を10年(5)と1箱を15年(15)なら、合わせて20パックイヤーです。
いま、だいたいで出してみてください。そのうえで読み進めてください。この数字には、具体的な意味があります。
検診は誰を対象にしていますか
米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、次の条件を満たす人への、低線量CTによる年1回の検診を推奨しています。
- 50歳から80歳であること
- 喫煙歴が20パックイヤー以上(喫煙指数400以上)であること
- いま吸っている、または過去15年以内にやめたこと
これについて、三つ言っておきます。
これは米国の基準です。 対象の条件も、検診が実施されているかどうかも、国によって大きく異なります。上の数字が日本でそのまま適用されると考えないでください。もっとも広く引用されている基準ではありますが、世界共通の規則ではありません。自分にあてはまるかどうかを決めるのは、あなたの医師です。
「15年以内」は見落とされます。 対象はいま吸っている人だけではありません。25年吸ったあと8年前にやめた人は、この考え方ではまだ対象に入りうるということです。
基準の外にいることは、リスクがゼロという意味ではありません。 その集団に対して、検診の利益が不利益を上回ると示されていない、という意味です。症状がある場合は、対象かどうかに関係なく、いつでも調べる価値があります。
低線量CTは何をしますか
低線量CTは短い検査です。数分で終わり、注射はなく、通常のCTのごく一部の放射線量で行われます。
探しているのは肺の小さな結節で、その大半はがんではありません。検診が買っているのは、腫瘍がまだ小さく、その場にとどまっているうちに見つける機会です。治療がいちばんよく効くのは、その段階です。症状が出てから見つかる肺がんは、たいてい遅れて見つかります。
リスクの高い集団に年1回の低線量CTを行うと、肺がんによる死亡が減ります。推奨が存在する理由はそこにあります。
胸部レントゲンは代わりになりません。 レントゲンは肺がんの検診として有効ではなく、安心の材料に使うべきものではありません。
正直な欠点
検診に代償がないわけではありません。途中で知るより、考える段階で知っておくほうがいい。
偽陽性はよくあります。 結果的に良性だった小さな結節が、しばしば見つかります。それは再検査、何か月もの経過観察、現実の不安、そしてときには不要だった侵襲的な処置を意味します。
放射線。 量は少ないものの、毎年くり返します。リスクの高い集団では割に合いますが、リスクの低い人では合いません。基準が狭いのは、まさにそのためです。
検診は喫煙を安全にしません。 ここは大事です。検診はいくつかのがんを早く見つけますが、がんを防ぐわけではありません。心臓の病気にも、脳卒中にも、COPDにも、喫煙が原因になるほかの十数種類のがんにも、何もしません。検診を「吸い続けてよい許可」として使うのは、考えうるかぎり最悪の使い方です。
いまあなたに使えるもののなかで、いちばん効果が大きいのは、やはりやめることです。
加熱式たばこの年数はどう数えますか
正直に書きます。パックイヤーも喫煙指数も、紙巻きたばこを前提につくられた物差しです。加熱式たばこの年数をどう換算するかについて、確立した方法はありません。
だから、自分で決めずに、紙巻きを吸っていた期間と加熱式に切り替えてからの期間を、それぞれそのまま医師に伝えてください。判断の材料になるのは、あなたが計算した一つの数字ではなく、その経過です。
検診より先に受診すべき症状
検診は、症状のない人のためのものです。次のどれかがあるなら、それは別の話で、しかも早いほうがいい。
- 3週間以上続く咳、あるいは前からある咳の性質が変わった
- 血の混じった痰が出る
- 息切れ、胸や肩の痛みが続く
- 肺の感染をくり返す
- 原因のわからない体重減少、続く強い疲れ
- 3週間以上続く声のかすれ
どれも、がんだという意味ではありません。どれも、調べに行くという意味です。
今週やること
- 自分のパックイヤーと喫煙指数を計算する。 1日の箱数×年数、1日の本数×年数。書き留めてください
- 次の健康診断でその数字を出す。 日本には、年に一度きちんと医師に会う仕組みがあります。使ってください。聞き方は「この数字だと、私に肺がん検診はあてはまりますか」で十分です
- その答えで禁煙の計画を変えない。 対象であってもなくても、リスクをいちばん下げるのはやめることです
- 3日間数える。 吸ったその場で1本ずつ。減らしはじめる本当の出発点になります
- ゼロの日を8〜12週間先に決める。 実測した平均から、週ごとに上限を下げます
- 「15年」の時計は、早くやめた人ほど有利であることを覚えておく。 そしてこのサイトにあるほかのリスクは、やめた日から下がりはじめます
Puff Counterは数える部分を引き受けます。1本、あるいは1回の吸い込みごとに1タップ。実際に吸った量から週の上限が計算し直され、全期間の履歴が残るので、年間の数字が推測でなくなります。
今日の2分
いま、自分のパックイヤーを計算してください。1日の箱数×年数。掛け算ひとつです。
その数字は、次の健康診断で医師に見せる価値があります。そして同時に、あなたが吸うのをやめた日から、増えるのが止まる数字でもあります。
よくある質問
パックイヤーはどうやって計算しますか?
1日に吸う箱数に、吸ってきた年数を掛けます。1日1箱を20年なら20パックイヤー。1日半箱を30年なら15。1日2箱を15年なら30です。1箱は20本で計算します。吸う量が時期によって変わったなら、期間ごとに計算して足してください。
喫煙指数とパックイヤーはどう違いますか?
喫煙指数(ブリンクマン指数)は1日の本数×年数、パックイヤーは1日の箱数×年数です。1箱を20本として計算するので、喫煙指数はパックイヤーのちょうど20倍になります。20パックイヤーは喫煙指数400、30パックイヤーは600です。同じことを別の単位で言っています。
肺がん検診は誰が受けるべきですか?
米国のUSPSTFは、50〜80歳で20パックイヤー以上の喫煙歴があり、いま吸っているか過去15年以内にやめた人に、年1回の低線量CTを推奨しています。これは米国の基準です。国によって基準も実施状況も異なるため、自分にあてはまるかどうかは医師が判断します。
肺がん検診にはどんな欠点がありますか?
主なものは偽陽性です。がんではない小さな結節が見つかることが多く、追加の検査、経過観察、不安、ときには結果的に不要だった生検につながります。わずかな放射線被曝もあります。リスクの高い人では利益が上回るため、基準が狭く設定されています。