タバコが目に与える影響|加齢黄斑変性・白内障・ドライアイ
喫煙は加齢黄斑変性のリスクを2〜4倍にし、白内障を早めます。目の症状は自覚が遅れるぶん、気づいたときには戻せません。何が起きるのか、やめると何が変わるのかを整理しました。
かんたんな答え
喫煙は目の病気の主要な危険因子です。加齢黄斑変性のリスクは吸わない人の2〜4倍と報告されており、白内障も早く進みます。煙による刺激と涙の質の低下でドライアイも起こります。やめると進行速度は落ちますが、加齢黄斑変性のリスクが吸わない人の水準に近づくには長い年月がかかります。
目の話が後回しにされやすいのは、自覚症状が出るのが遅いからです。息切れや咳と違って、視力の変化は毎日少しずつ進み、気づいたときには戻せない段階に入っています。
事実だけ先に書きます。喫煙は加齢黄斑変性のリスクを吸わない人の2〜4倍にし、白内障を早め、ドライアイを起こします。このうち最初のひとつは、失った視力が戻らない病気です。
加齢黄斑変性:いちばん重い話
黄斑は、網膜の中心にある小さな領域です。文字を読む、人の顔を見分ける、信号を確認する。視力の中で最も精密な仕事を担当している部分がここに集中しています。
加齢黄斑変性は、この中心部分が傷んでいく病気です。周辺の視野は残るため、完全に見えなくなるわけではありませんが、読む・見分けるという機能が失われます。日本でも、成人の視力障害の主な原因のひとつです。
喫煙は、この病気の最大の予防可能な危険因子とされています。加齢と遺伝は変えられませんが、これは変えられます。喫煙者では発症の時期が非喫煙者より早い傾向も報告されています。
理由は、網膜が体の中でも特に酸素を大量に消費する組織であること、そして喫煙が酸化ストレスを増やして細い血管を傷つけることにあります。供給が減り、負荷が増える。この組み合わせが、最も繊細な場所に効きます。
白内障:早く来る
水晶体が濁って、かすんで見える、光がまぶしい、といった症状が出る病気です。年齢とともに誰にでも起こりますが、喫煙者では発症が早く、進行も速いことが繰り返し報告されています。喫う量が多いほどリスクが上がる関係も見られています。
こちらは手術で対処できる病気です。ただし、10年早く手術が必要になるということでもあります。
ドライアイと、毎日の見えにくさ
病気の名前がつくもの以外にも、日常的な症状があります。
- 目が乾く、ゴロゴロする — 煙の直接刺激に加え、涙の表面を覆う油の層が乱れて水分が蒸発しやすくなります
- 夕方に見えにくくなる — 涙の質が落ちると、視界のにじみが出ます
- 画面を見続けると疲れる — もともと瞬きが減る作業なので、乾きやすさが上乗せされます
- 暗いところで見えにくい — 網膜が暗さに慣れる働きは酸素を必要とするため、供給が減ると鈍くなります
コンタクトレンズを使っている人は、この影響を強く感じます。乾いた目の上にレンズが乗るためです。
なお、これらは吸っている本人だけの話ではありません。副流煙でも同じことが起こり、子どもでは症状が出やすいことが知られています。
甲状腺の病気がある人は、特に
バセドウ病などで目の症状(眼球突出、まぶたの腫れ、複視)が出る甲状腺眼症は、喫煙によって明確に悪化することが知られています。この分野では、禁煙が治療の一部として扱われるほど関連がはっきりしています。該当する人は、優先度を上げてください。
やめると、何が変わりますか
順番があります。
数週間〜数か月 — 目の表面への直接の刺激がなくなり、乾きやかすみが軽くなります。血流も2週間〜3か月で改善します(CDC)。実感として最初に来るのはこの部分です。
数年 — 白内障の進行速度が落ちます。ゼロには戻りませんが、手術が必要になる時期を後ろにずらせます。
10年以上 — 加齢黄斑変性のリスクが、吸わない人の水準に近づいていきます。時間がかかる、という事実は隠さずに書きます。だからこそ、始める時期が結果を決めます。
戻らないもの — すでに失われた黄斑の中心視力は回復しません。禁煙は、残っている部分を守るための行動です。
見え方は、支払っているものの一部です
10年後の視力という話は遠く感じるかもしれません。であれば、今日の話をします。
朝の目のゴロつき、夕方のかすみ、暗い場所での見えにくさ、コンタクトの不快感。これらはすでに支払っている代金です。金額として計上されていないだけで、毎日引き落とされています。
そして支払いの総額は、続けた年数で決まります。1日20本を1年続ければ7300本。10年で7万3000本。目の側から見れば、それだけの回数、血管が収縮し、煙が表面を通過したということです。
今日の2分
やめられた人の多くは、一度で成功していません。何度か試して、そのたびに自分の吸い方を知り、最後の一回でやめています。今日が何度目でも、その回数は不利にはなりません。
**今日やることは、減らすことではありません。今日吸った本数を、ただ数えるだけです。**2分で終わります。多くの人は、思っていた本数と実際の本数がずれていることに、この日はじめて気づきます。
もうひとつ。40歳を過ぎていて何年も吸っているなら、眼科で一度、網膜を見てもらってください。加齢黄斑変性は自分では気づけない段階から始まります。
Puff Counterは、その「まず数える」から始められるように作ってあります。数えた実績から週ごとの減らし方が自動で組まれるので、目標本数を自分で決める必要はありません。今日の1本目を記録するところからで十分です。
よくある質問
喫煙で失明することはありますか?
喫煙は加齢黄斑変性の最大の予防可能な危険因子とされ、この病気は成人の視力障害の主な原因のひとつです。視野の中心がゆがむ、暗く見えるという形で進み、失われた中心視力は戻りません。喫煙者では発症が非喫煙者より早い傾向も報告されています。
禁煙すれば目のリスクは下がりますか?
下がります。ただし速度は病気によって違います。白内障の進行やドライアイの症状は比較的早く改善に向かいますが、加齢黄斑変性のリスクが吸わない人の水準に近づくには、禁煙から10年以上かかると報告されています。早くやめるほど差が大きくなる分野です。
タバコの煙で目が乾くのはなぜですか?
煙が目の表面を直接刺激するのに加え、涙の表面を覆う油の層が乱れて水分が蒸発しやすくなるためです。さらにニコチンによる血流の低下が、涙をつくる組織にも影響します。副流煙でも同じことが起こるため、周囲の人にも症状が出ます。
受動喫煙も目に影響しますか?
します。周囲の人にもドライアイや目の刺激症状が起こり、子どもでは症状が出やすいことが知られています。加齢黄斑変性についても、受動喫煙とリスク上昇の関連を示す報告があります。屋内で吸わないことは、家族の目を守る対策でもあります。