昔は常識だった、タバコについての7つの思い込み
医者が銘柄を推薦する広告、飛行機の喫煙席、新幹線の喫煙ルーム。数十年で「当たり前」が「ありえない」に変わった7つの例と、それが電子タバコに示すこと。
かんたんな答え
かつては医師が銘柄を推薦する広告が存在し、飛行機にも列車にも喫煙席があり、「マイルド」「ライト」は害が少ない証拠だと信じられていました。1994年には米国のタバコ会社幹部が議会で、ニコチンに依存性はないと考えると証言しています。どれも当時は常識で、今はどれも成立しません。
1950年代のアメリカには、医者がタバコの銘柄を推薦する広告がありました。白衣を着て、紙巻きタバコを持って、微笑んでいる医師の写真です。
当時それは奇妙でも不謹慎でもなく、ごく普通の広告でした。おかしいのは私たちの感覚のほうが変わったからです。以下の7つは、どれも「昔の非常識」ではなく「昔の常識」です。
1. 医者が銘柄を推薦していた
根拠は医学ではありませんでした。タバコ会社が自社で実施したアンケートを、広告に転用していただけです。1964年に米国公衆衛生長官報告が喫煙と肺がんの関係を公式に認めると、この手法は消えました。
2. 「ライト」「マイルド」は体にやさしいと思われていた
フィルターの通気孔で機械測定のタール値を下げても、人は深く吸い、本数を増やして同じニコチン量を確保します。補償喫煙と呼ばれる現象です。日本でも表示は使われなくなり、マイルドセブンは2013年にメビウスへ改称されました。
3. 飛行機に喫煙席があった
通路をはさんだ向こう側が禁煙席、という座席表です。空気は同じ機内を循環していました。日本の航空会社も1990年代末までに全面禁煙へ移行しています。
4. 列車の中で吸えた
新幹線には長く喫煙車があり、その後は喫煙ルームが残っていました。東海道新幹線の喫煙ルームが廃止されたのは2024年3月です。つまり、これはそれほど昔の話ではありません。
5. 職場の机に灰皿があった
会議中に吸う、電話しながら吸う、部下の席で吸う。応接室のテーブルには必ず灰皿が置いてありました。改正健康増進法により2020年4月から多くの屋内施設が原則禁煙になりましたが、それ以前を知っている人にとっては、机の上の灰皿は風景の一部でした。この20年の変化としては、かなり急なほうです。
6. 妊婦や子どもの前でも遠慮がなかった
家庭の車内、居間、病院の待合室。受動喫煙という言葉自体が一般に広まる前の話です。窓を開けていれば大丈夫、換気扇の下なら問題ない、という説明もよく使われていました。
現在WHOは、受動喫煙によって年間およそ130万人が亡くなっていると推計しています。当時それを知らなかったことは責められませんが、知られていなかった期間が長かったという事実のほうは残ります。
7. 「ニコチンに依存性はない」と証言された
1994年、米国のタバコ会社幹部が議会の公聴会で、宣誓のうえニコチンに依存性はないと考えると証言しました。映像は今も公開されています。当時それは業界の公式見解でした。
この7つが電子タバコについて示すこと
7つの例に共通するのは、間違いの中身ではなく、間違っていた期間の長さです。どれも数十年にわたって「常識」として通用し、独立した研究が追いつくまでその地位を保ちました。
加熱式タバコや電子タバコは、登場からまだ日が浅い製品です。長期の影響を判定するには、数十年単位の追跡が必要になります。つまり現時点で「安全である」と言えるだけのデータは、原理的にまだ存在しません。
害が確定していないことと、害がないことは別です。この文章で言えるのはそこまでですが、過去7回、同じ形で判断を保留した結果がどうなったかは記録に残っています。「そのうち分かる」と言われていた期間に吸っていた人たちが、答えが出たときにどうなったかも含めて。
今日の2分でできること
歴史の話を自分の話に戻す方法は1つだけです。今日、本数か回数を数えてください。減らさなくてかまいません。数えるだけです。
Puff Counterは1タップで記録し、その実数から週ごとの上限を引き直します。20年後に「あの頃はそれが普通だった」と言う側になるかどうかは、今日の数字を知っているかどうかから始まります。
よくある質問
本当に医者がタバコを推薦する広告があったのですか?
ありました。1930年代から50年代にかけて、米国では医師の姿や「多くの医師が選ぶ銘柄」といった表現を使った広告が一般的でした。医学的な根拠ではなく、業界が実施したアンケートを宣伝に転用したものです。1964年の米国公衆衛生長官報告以降、この手法は姿を消しました。
「ライト」「マイルド」はなぜ表示できなくなったのですか?
害が少ないという誤解を与えるためです。フィルターの通気孔で機械測定値を下げても、人は深く吸い込み本数を増やして同じ量のニコチンを得ます(補償喫煙)。日本でも表示は使われなくなり、マイルドセブンは2013年にメビウスへ改称されました。
日本で屋内が禁煙になったのはいつからですか?
改正健康増進法により、2020年4月から飲食店やオフィスなど多くの屋内施設で原則屋内禁煙となりました。東海道新幹線の喫煙ルームも2024年3月に廃止されています。20年前には駅のホームにも職場の机にも灰皿がありました。
この変化は電子タバコにも当てはまりますか?
同じ道をたどる可能性はあります。過去の例に共通するのは、安全だと主張された時期が長く、独立した研究が追いつくまでに数十年かかった点です。加熱式や電子タバコは登場から日が浅く、長期の影響を判定できるだけのデータがまだそろっていません。