アイコスは周りの人に害はある?受動喫煙の考え方
加熱式タバコは煙が出ないから室内でも大丈夫、は正しいのか。吐き出されるエアロゾルに何が含まれるのか、においの弱さが何を隠すのか、家庭内での現実的な線引きを整理します。
かんたんな答え
加熱式タバコから吐き出されるエアロゾルには、ニコチンや加熱で生じた成分が含まれます。紙巻きタバコの副流煙より量は少ないものの、ゼロではありません。WHOは加熱式タバコにも屋内禁煙の規制を同じように適用するよう求めています。においが弱いことは、成分がないことを意味しません。
「煙が出ないから室内でも平気」。加熱式タバコを使う人からよく聞く説明です。ここを正確にしておきましょう。
加熱式タバコから吐き出されるのはエアロゾルで、そこにはニコチンと、加熱で生じた成分が含まれています。紙巻きタバコの副流煙より量は少ない。しかし、ゼロではありません。
何が減って、何が残るのか
紙巻きタバコの受動喫煙が大きい理由は、二つの経路があるからです。吸った人が吐き出す煙と、火のついた先端から立ちのぼる副流煙。実は後者のほうが量としては多くなります。
加熱式には火がついていないので、この副流煙にあたる部分がありません。周囲への曝露が紙巻きより少ないのは、主にここが理由です。
残るのは、吸った人が吐き出す側です。吸収されなかったニコチンと、加熱で生じた成分が、そのまま部屋の空気に入ります。実験室での測定では、加熱式の利用中に室内のニコチン濃度や微小粒子が上がることが報告されています。
においが弱いことが問題を隠す
紙巻きタバコには、周囲が気づくという機能がありました。においがきついので、家族が嫌がり、吸う側も遠慮しました。この不便さが、結果的に曝露を抑えていました。
加熱式ではその合図が弱くなります。誰も文句を言わないので、リビングで吸うようになる。子どもが同じ部屋にいても気にならなくなる。曝露が減った代わりに、曝露の機会が増えるという逆転が起こります。
これは吸っている本人にも起こります。においで我に返る瞬間がないため、1日の本数が自分でも把握しにくくなります。
法律で認められている、は安全の証明ではない
日本では加熱式タバコに別枠の扱いがあり、飲食をしながら使える専用の喫煙室が経過措置として認められている場所があります。この制度を根拠に「加熱式は害がないと国が認めた」と説明されることがありますが、それは正しくありません。
制度上の区分は、影響の有無が確認されたことを意味しません。WHOは加熱式タバコについて、タバコ製品として扱い、屋内禁煙の規制を紙巻きと同じように適用すべきだという立場を示しています。
家庭で決めておきたい線引き
完璧を目指す必要はありません。影響が大きいところから順に決めれば十分です。
- 子どもがいる部屋では吸わない。体が小さく呼吸数が多いぶん、同じ空気でも受ける量が相対的に大きくなります。
- 妊娠中の人がいる空間では吸わない。ニコチンは胎児の発育に影響することがわかっています。
- 車内では吸わない。容積が小さく、窓を開けても濃度が十分に下がりません。
- 寝室で吸わない。滞在時間が長く、換気の機会も少ない場所です。
この4つを決めるだけで、家庭内の曝露はかなり変わります。そして副次的な効果として、吸う場所が減ると本数も減ります。
においが残らない、は本当か
紙巻きタバコは、カーテンや壁紙、車のシートに成分が残ります。吸い終わったあとも長く残り、においとして分かりやすいのが特徴です。
加熱式では、この残り方はかなり小さくなります。壁が黄ばみにくい、服ににおいがつきにくいというのは、多くの人が実感するところです。
ただし、においが弱いことと、何も残っていないことは別です。エアロゾルにはニコチンが含まれるため、同じ部屋で繰り返し使えば表面にも付着します。においという分かりやすい合図がないぶん、どれだけ溜まっているかが見えにくい、という言い方が正確です。
気づかれないことのもう一つの代償
家族が何も言わなくなると、自分の使用量を見直すきっかけも消えます。紙巻き時代は「またベランダに出るの?」という一言が、実は回数の目安になっていました。
その合図がなくなった今、代わりになるものを自分で用意する必要があります。いちばん確実なのは、数えることです。
今日の2分
今日1日、加熱式を使った本数と、そのうち家の中で吸った本数を数えてみてください。減らす必要はありません。ただ数えるだけです。
家の中の本数が思ったより多ければ、そこが最初に手をつけるところです。場所を1か所に絞るだけで、家族の曝露も、自分の本数も同時に下がります。
Puff Counterは1本ごとに記録できるので、どの時間帯にどれだけ吸っているかが後から見えます。まずは今日の本数を数えて、その内訳を確かめてみてください。
よくある質問
加熱式タバコの受動喫煙は紙巻きより少ないのですか?
燃焼がないため、燃えている先端から立ちのぼる副流煙がなく、周囲への曝露量は紙巻きより少なくなります。ただし吸った人が吐き出すエアロゾルにはニコチンなどが含まれます。少ないことと、影響がないことは別です。
家の中で加熱式タバコを吸っても大丈夫ですか?
においや汚れが残りにくいのは事実ですが、子どもや妊娠中の人がいる空間では避けるほうが安全です。呼気に含まれる成分がゼロだと示されているわけではなく、WHOも屋内での使用制限を推奨しています。吸うなら屋外か換気された別空間が無難です。
法律で屋内でも吸える場所があるのはなぜですか?
日本では加熱式タバコに対して経過措置的な扱いがあり、飲食が可能な専用の喫煙室が認められている場合があります。これは影響がないと確認されたからではなく、制度上の区分によるものです。法律上の可否と安全性は別の問題です。
車の中で吸うのはどうですか?
車内は容積が小さく換気も限られるため、濃度が高くなりやすい空間です。同乗者がいる場合、特に子どもがいる場合は避けてください。窓を開けても濃度は十分には下がらず、シートなどに成分が残ることもあります。